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広尾 晃の気まぐれ寺ばなし

第24回 女性のための仏教もあった

「日本書紀」など古代の文書を見ていると、

「僧」の後には必ず「尼僧」という文字が付いてまわります。



仏教が伝来した当時は、仏教は男性の僧だけでなく、

尼僧によっても担われるという意識が強かったようです。

中世以降は、寺といえば男が支配する世界であり、女人禁制の寺も増え、

尼僧といえば貴族の子女が庵を結んで余生を送るというイメージが定着しました。



しかし、聖武天皇が考えた鎮護国家では、

男性の国分寺とともに女性の国分尼寺も重要な役割を果たしたようです。

これは、藤原氏出身の光明皇后が、政治的にも強い力を有していたことと無縁ではないでしょう。

聖武天皇は東大寺と言う空前の大寺を建立されましたが、

光明皇后も法華寺という壮大な伽藍をもつ尼寺を建立しました。



この寺は父藤原不比等から相続した光明皇后自身の邸跡に建てられ、

総国分尼寺という位置づけでした。

壮大な伽藍であったために、完成した時には光明皇后は世を去っていましたが、

その大きさは東大寺に次ぐものでした。



このあとも大きな尼寺がいくつか創建されましたが、次第に尼寺は造られなくなります。

また地方では国分尼寺は実際には建立されなかった例も多かったようです。

光明皇后の時代を頂点として、尼寺は一般寺院の影に隠れる形でスケールダウンしていったのです。


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総国分尼寺だった奈良市の法華寺


プロフィール

広尾 晃(ひろお・こう)

1959年大阪市生まれ。立命館大学卒業。コピーライター、プランナー、ライターとして活躍中。日米の野球記録を専門に取りあげるブログサイト「野球の記録で話したい」でライブドア奨学金受賞。スポーツ専門テレビ局「J SPORTS」でプロ野球番組のコメンテーターも務めている。著書に『巨人軍の巨人 馬場正平』、『プロ野球なんでもランキング』、『プロ野球解説者を解説する』(以上、イースト・プレス刊)など。

 

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