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広尾 晃の気まぐれ寺ばなし

第18回 大衆とともに生きた行基

国家が仏教と統制し、一般大衆への勝手な布教を禁じた中で、

敢然とそれに立ち向かったのが行基(668-749)です。



行基は大化の改新から20年余がたった天智天皇7年に

今の堺市あたりに生まれ、681年に大官大寺で出家得度します。

そして704年には自らの家を家原寺という寺院に改めて、

大衆への布教活動を行います。

これが、僧尼令に反するとして国家の弾圧を受けます。



行基が出家をした時点では、僧尼令は出されていませんでした。

行基は「私度僧」ということで弾圧を受けたのではありません。

寺の外に出て、大衆に仏教の教えを説いたことが僧尼令に違反したとみなされたのです。



しかし行基は弾圧にめげず、布教活動を進めます。

また、田を開いたり、ため池を開削するなど土木工事も指導します。

貧しい人のために施しをするなどの社会事業も行いました。

こうして、行基は大衆の圧倒的な支持を得ていきました。



行基は日本で最初に大衆に仏教を布教した僧侶です。

また民衆の生活向上に尽力した社会事業家でもありました。

日本全国に「行基が造った池」「起こした寺」の伝承があることを見ても、

人々の圧倒的な支持を得ていたことがわかります。



のちに行基のこの力は、東大寺建立へと集約されるのです。


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僧尼令によって弾圧された行基生誕の地、大阪府堺市の家原寺にある行基像

プロフィール

広尾 晃(ひろお・こう)

1959年大阪市生まれ。立命館大学卒業。コピーライター、プランナー、ライターとして活躍中。日米の野球記録を専門に取りあげるブログサイト「野球の記録で話したい」でライブドア奨学金受賞。スポーツ専門テレビ局「J SPORTS」でプロ野球番組のコメンテーターも務めている。著書に『巨人軍の巨人 馬場正平』、『プロ野球なんでもランキング』、『プロ野球解説者を解説する』(以上、イースト・プレス刊)など。

 

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