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広尾 晃の気まぐれ寺ばなし

第10回 日本仏教伝来の地はどこ?

ところで、私たちが学んだ歴史の教科書では、

仏教公伝にはこれまでご紹介してきた欽明天皇13(552)年ではなく、

西暦538年とする説も掲載されています。

そうなると、欽明天皇の即位の前年であり、

いとこであり義父にもあたる宣化天皇の時代になります。

そのあたりを特定することは不可能なようです。


ただ、仏教公伝が欽明天皇の時代だったことはほぼまちがいないとされています。

「きらぎらし」といわれた欽明天皇の熱意が、

仏教による国家建設につながったのはまちがいないようです。


この仏教公伝のときに、百済の聖明王の使者が上陸したといわれる地名が今も残っています。

大阪市此花区伝法です。

この地は淀川河口のデルタ地帯であり、漁村として早くから開けていました。

百済使節は現此花区である難波津に上陸し、

この地に仏法の伝導道場を建てたといわれます。


これが今の西念寺であり周辺の地名「伝法」も仏教伝来にちなむといいます。

当の西念寺様は、この仏教伝来の歴史を掲げておられません。

本当のところはわからないのですが、現在の奈良県にあった朝廷に行くためには、

外国使節は「芽淳の海(ちぬのうみ 今の大阪湾)」に船を進めなければなりません。

あり得ない話ではなかったと思います。


はるかな昔、百済の施設が「伝法」の地に船を乗り入れ、

仏様を大事に携えながら上陸したと想像すれば、

何でもない大阪の下町もかけがえのない土地のように思えてきます。


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仏教公伝にかかわりがあるといわれる大阪市此花区西念寺の観音菩薩像

プロフィール

広尾 晃(ひろお・こう)

1959年大阪市生まれ。立命館大学卒業。コピーライター、プランナー、ライターとして活躍中。日米の野球記録を専門に取りあげるブログサイト「野球の記録で話したい」でライブドア奨学金受賞。スポーツ専門テレビ局「J SPORTS」でプロ野球番組のコメンテーターも務めている。著書に『巨人軍の巨人 馬場正平』、『プロ野球なんでもランキング』、『プロ野球解説者を解説する』(以上、イースト・プレス刊)など。

 

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