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広尾 晃の気まぐれ寺ばなし
第8回 堀江に捨てられた仏様はどうなった?
堀江の池に捨てられた仏像には後日談があります。
捨てられてから50年ほどのちに、信濃国の国司本田善光が
この池のほとりを通りかかったところ、池の中から光を放つものがあります。
池を探ったところ阿弥陀仏が出てきたので、
これを背負って邸のある信濃麻積に持って帰り、
自宅の臼の上に安置しました。
のちに阿弥陀仏は信濃芋井の里(長野市)に移されました。
これが善光寺のはじまりだとされています。
この話を最初に聞いたのは、まだ中学生の頃でしたが、
子供心になんともつじつまの合わない話だなと思った覚えがあります。
百済から欽明天皇のもとに贈られたのは、確かお釈迦さまだったはずです。
それがいつの間に阿弥陀様に変わったのだろう。
それに、この仏様が池から再発見されたのは7世紀(600年代)。
聖徳太子(厩戸皇子)や、蘇我馬子、小野妹子などが活躍していたはず。
本田善光という名前は、あまりにも新しすぎないか。
まるで江戸時代みたいな名前だ。
そもそも本田という苗字はその頃に存在していたのだろうか。
日本だけに限りませんが、宗教にまつわる伝承は
どんどん増殖していくようです。
目くじらを立てるような問題ではありませんが、
歴史を調べていくには史実と伝承を見分ける力が必要なのだと思いました。
百済から伝わった仏像を捨てたという「堀江の池」あとに立つ和光寺の地蔵尊
プロフィール
広尾 晃(ひろお・こう)
1959年大阪市生まれ。立命館大学卒業。コピーライター、プランナー、ライターとして活躍中。日米の野球記録を専門に取りあげるブログサイト「野球の記録で話したい」でライブドア奨学金受賞。スポーツ専門テレビ局「J SPORTS」でプロ野球番組のコメンテーターも務めている。著書に『巨人軍の巨人 馬場正平』、『プロ野球なんでもランキング』、『プロ野球解説者を解説する』(以上、イースト・プレス刊)など。
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