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唱歌の社会史 なつかしさとあやうさと
- 著者伊藤 公雄(著)河津 聖恵(著)中西 光雄(著)永澄 憲史(著)山室 信一(著)佐久間 順平(著)中西 圭三(著)野田 淳子(著)
- 定価2,000円+税
- 初版2018年6月
- ISBN978-4-904678-58-9
- ページ264ページ
- 版型四六判
内容紹介
「唱歌」という、今までにはあまり類のない視点から読み解く日本近現代史。
ひろく愛唱されている文部省唱歌の数々には、近代国家としての「日本」および「日本人」をつくっていくという隠された目的がありました。
明治維新までは、ほとんどの日本人は「日本」「日本人」という自意識のないままに生きてきました。富国強兵策、植民地主義の中で、日本政府は、「日本人」という意識を国民に持たせる政策をとります。それが、国語読本、修身、であり、音楽=唱歌教育でした。
本書は、2015年におこなわれたシンポジウムをもとに、新規書き下ろし原稿を加えました。
今も人々に愛唱されている唱歌の数々を例示しながら、唱歌の成り立ち、植民地政策のなかで歌われた歌詞、戦後の占領政策のなかで黒塗りされた軍国的な歌詞、また官製の唱歌に対抗した「童謡」などをいとぐちに、国文学、社会学、法制史学、また詩人の立場から、近代日本の社会史を広くみていきます。
唱歌の愛好者はもとより、音楽教育、歴史教育の実践者、また、研究者にもおすすめいたします。
取り上げる唱歌は、「庭の千草」「故郷」「我は海の子」「早春賦」「蛍(蛍の光)」「あおげば尊し」「春の小川」「霞か雲か」「夏は来ぬ」「朧月夜」「浜辺の歌」「兵隊さん」「故郷を離るる歌」「里の秋」「故郷の廃家」「鉄道唱歌」ほか。
目次(コンテンツ)
1 唱歌集 解説 中西光雄
庭の千草
故郷
我は海の子
早春賦
蛍(蛍の光)
あおげば尊し
春の小川
霞か雲か
夏は来ぬ
朧月夜
浜辺の歌
兵隊さん
故郷を離るる歌
里の秋
故郷の廃家
鉄道唱歌
2 座談会 「唱歌 なつかしさとあやうさと」
軍国主義と唱歌
荒地から出発した戦後詩
日本人の空間心性と唱歌
満洲唱歌と北原白秋
国民国家と唱歌
皇民化教育と唱歌
唱歌から童謡へ
兵隊さんはきれいだ、兵隊さんはかっこいい
「故郷の廃家」と硫黄島の玉砕
コラム・ミュージシャンより
歌で導く子どもたちの明日 中西圭三
命を大切に、人を思いあう美しい心を歌っていきたい 野田淳子
一緒に歌うこと、そして今…… 佐久間順平
3 唱歌の社会史 中西光雄
4 童謡はいかに唱歌にあらがったか 白秋の場合 河津聖恵
5 唱歌と空間心性そして植民地 山室信一
むすびに 「うた」のなつかしさとあやうさ 近代日本社会と「国民意識」 伊藤公雄
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