HOME > 編集部ブログ > 『平和をどうつくるのか 「戦後」を超えて』ご感想
『平和をどうつくるのか 「戦後」を超えて』ご感想をいくつかいただいておりますので、転載します。
S様———————————-
確かに、このような論説は、とても大事なことなのに、ほとんど報道されていませんね。
誠にに僭越ながら、君島先生、白井先生の発言と主張、共感するところも多々あれば、わずかながら「?」と思うところもあり、両先生の「とがった」主張に、久しぶりに自分の頭で考えさせられました。
君島先生と白井先生は、主張に重なり合うところが多いながら、あえて馴れ合うことなく、違うところを際立たせてお話しされるところに、文字通り討議のおもしろさを感じました。
(君島先生の主張に多く共感を覚えるのは、私と世代がほぼ同じ(君島先生が1歳年長)からでしょうか)
昔であれば、両先生から、「紫野の会」で、より詳しくお話をお伺いしたいところです。
また、田中元首相失脚の原因を米国陰謀説と陰謀説は誤りとする両説があるのを、50・51ページでしっかり注釈されておられるのも、さすがだと思いました。
O様—————————————–
「はじめに」に紹介されていた「私たちはどこまでも9条と自衛隊の矛盾に耐えるべきだ」(君島東彦)という言葉に興味を引かれ、読み進めました。
白井聡さんの論考は各所で紹介されているので、君島東彦さんの発言のみ抜粋します。要諦部分というわけではありませんが、本書に関心を持たれた方の参考に なれば幸い。外交は政府の専権事項と言わ れますが、非政府外交や市民レベルの交流の重要性を見直すきっかけになりました。
〈日本の外交を 変えるのは簡単ではありません。日米関係をすべてに優先します。……外務省を変える一つの方法は、政権交代です。でも、見事に民主党が失敗したように、簡 単ではないのです。オルタナティ ブを提示するものとして、野党外交があります。それから自治体外交、自治体の政策があります。例えば、非核神戸方式のおか げで、核搭載の疑いがあるアメリカの船が入港しなくなる わけです。あるいは、沖縄県は自治体外交のぎりぎりの線を追求していると思います。それと市民外 交、市民社会です。〉
〈日本国憲法9条から出発すると、自己中心的な議論になり、世界が見えなくなります。世界全体から9条を見よ、とい うのが私の意見です。……大日本帝国、沖縄、日本の民衆、ワシ ントン、東アジア、世界の民衆という6つの視点から見ることで、はじめて憲法9条の全体像が わかる。〉
〈韓国憲法5条は軍を認めていますが、日本国憲法9条に近いです。日本国憲法9条を「平和のための新9条論」の人たちの言うよ うに変えると韓国憲法5条と同じようになるのです。韓国 憲法5条は韓国軍をコントロールできていません。韓国の憲法学者は私にさんざん言うわけです、「韓 国みたいになるなよ」と。9条2項を変えて法的整合性をそこで一時的に 実現してもまったくシビリアンコントロールできないというのが韓国の学者の意見で す。〉
〈私は政府と並んで、あるいは政府以上に市民社会を大事だと考える立場です。日中間、東アジアにおいても、市民社会のつながりは深 まり、中国の市民社会の成長も間違いなくあると思い ます。……中国の学生と実際に日中関係について議論する、こういう機会を、私たちは100回も、200 回もやる必要があるのです。もちろん首脳会談は必要ですが、政府間関係は 市民社会の分厚い交流のうえに、成り立ちます。冷戦が終わる直前のヨーロッパはそ うでした。東西において、分厚い市民社会の交流がありました。〉